■12/3(土)ジョン・レンボーン/ウッディー・マン/打田十起夫
 流麗なアコギのインストは、時としてニュートラルなBGMになってしまうことがある。12月3日のジョン・レンボーン、ウッディーマン、打田十紀夫のライブは、そんなとをものともせず、彼等の個性がステージ上で飛び交っていた。トップバッターの打田氏は、先輩方を気づかったのか短めのステージを展開。日本人らしい職人気質なそのギターは、数曲といえど心にしっかりと刻み込まれた。真ん中のウッディーマンは、ドブロをまるでバンジョーのクローハンマー奏法みたいな弾き語りでスタート。ジャンルにとらわれない発想と音で観客をわかせていた。トリは御大将ジョン・レンボーン。5年前に来日した頃より歳をとり、まるでサンタクロースのような風貌だ。ジョンのギターは、ウェールズから出発し、イングランド、スコットランド、アイルランドと、イギリス諸島を一周する旅だった。61歳という年齢を感じさせないガッツがある演奏に、観客は固唾をのんで聴いていた。そしてジョンは「ブルースをやりたい」と言ってウッディーマンを呼び、アンコールでは打田氏も含めた三人でアコギバトルを始めた。とてつもない演奏が土曜の夜を包み込む。アコギの奥深さが音を通して、彼等を通して、伝わってくる。また見たいな〜。また肌で感じたいな〜。(てらしま)
■12/4(日)ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン
 「足、痛いから踏まんといてや!ちゅう事やねん。」ソウルフラワーの中川氏は自分の政治的発言の理由をこう言う。とてもシンプルな事。でも実際日本人でいれば踏まれる事は少ない。むしろ日本は世界中を踏みまくっている。しかも殆どの日本人は自覚がない。だから中川氏は必死に伝えている。自分達が踏んでいる事を。そして感じている。踏まれる人の痛みを。プロテストソングの話になると「ヒッピーの時代を引きずって・・・」とひく人も多いが、社会のシステムは当時と何も変わっていない。日本人はただ「無関心」になるよう飼育されてきただけである。「ロック」というならマイノリティの立場に立てるものであってほしい。惰性で回る大衆心理に対する、破壊のエネルギーであってほしい。日本は政治的発言ができるアーティストが少なすぎる。音楽は力を持っているのにもったいない話だ。さて、今回のライブはアコースティック。歌詞がはっきり聞き取れてよかった。家庭的な感じで、得三ならではか、最前列の女の子なんかは中川さんの家で飲んでる雰囲気。中川さんに「これからもアコースティック沢山やって下さい。」と言うと、氏曰く、「俺の基本はダンスミュージックやねん。人がアホんなって踊り狂うのがみたいねん。」じゃあ次は得三オールスタンディングでよろしくです! (小向定)
■12/17(土) いとうたかお Folk of Ages
 年末恒例のいとうたかお得三ライブ。昨年までは弾き語りによるソロだったそうだが、今年は一味も二味も違う。ラップスチール・ギターに最近お馴染みの長田タコヤキ和承氏、コントラ・バスには今春リリースされたいとう氏初のライブ盤「Folk of Ages」での競演も記憶に新しい松永孝義氏、そしてバッキング・ヴォーカルにはあのリングリンクスの宮武希さんとこれ以上は考えられないサポートを迎えた豪華版。いとう氏の弾き語りによる「エアーポートへ」で始まり、中盤からタコ氏が参加。それにしてもいとう氏のギターは上手過ぎ。それといとう氏の故郷・引佐の風景を唄った「夏はまぼろし」が久しぶりに聴けたのも嬉しかったな。いつもはラストを飾る事の多い「凡盆梵」で一部は終了。この時点でも充分満足な内容だったのに、松永氏も加わった2部にはもうただ驚くばかり。特に宮武さんの相変らず美しい唄声につつまれた「小さな朝」には感動!あまりの素晴らしさに思わず頬に涙が・・・多分得三に集まった皆も同じ思いだったんじゃないかな。タコ氏のマンドリンが光ったディランのカバー「天国の扉」も良かったけど。ラストは「小船」から「からだひとつが頼りの人達は」と激情的になだれ込む。最高!でもこんな夜は「アンコールは2曲と決めています」と言わずに、もっと演って欲しかったかな。(小林英弘)
■12/24(土)上野茂都/貝がらMAX
 しいたけさんの歌を三味線を弾きながら唄うおじさんと、ちょっとエッチな歌を唄うおじさんバンドという予備知識しかないまま見たライブでしたが、泣くほど笑い、おじさんってなんかいいなと思ってしまいました。ステージにひっそり現れ唄い出した上野さんは一曲唄い終わるごとに、恥ずかしそうに両手で頭をくしゃっと掻くのでした。クリスマスにちなんでキリスト誕生までの話を間に挟みながら、全然関係ない「きのこ節」や「炊事節」を淡々と唄い続ける上野さん。その?間?のおかしさにみんな泣きながら笑っていました。 そして、ひっそりと終わり、次の貝がらMAXへ。山田チャンスさんを見ているとどうしてもMr.オクレさんがちらちらするのですが、気持ち良さそうに唄う2人はとてもかっこ良かったです。せつないけどちょっと笑っちゃうおじさんの気持ちが伝わってきました。そんな二組のセッションは上野さんが「今日の夕方4時に会ったばかり」とは思えないほど馴染んでいました。ライブ後上野さんがお客さんの所に来て猫背になって挨拶している姿が印象的でした。絵も彫刻も作り、しかも美大の講師もしている上野さん。どんな授業するのかな?とかいろいろ興味をそそられる素敵な方でした。おじさん万歳!楽しいクリスマスイブでした。(やまちゃん)
■12/26(月)アン・サリー
 12/26、アンサリーさんのシークレットライブ(?)なるものが開催されました。歌姫アンサンリーさんと、それからショーロクラブの笹子氏のいぶし銀のギターによる、お二人だけのライブ!その日TOKUZOは、まるで近所の集会所にでも来たような、とてもほのぼのとしたムード。名古屋出身だというアンさんも、気のせいか、リラックスされていた様子。彼女お馴染みのジャズやボッサのカバーから、昨年リリースされた「Brand-New Orleans」に収録の楽曲も幾つかあり、だんだんとあったまっていく会場でした。歌のときは、彼女の歌声と笹子氏のギターを噛み締め、楽しみ、でも、MCの時には、なぜかゆるりとした雰囲気。とても心地よい空間でした。歌声はとても透き通って、まるで若き頃のマリアマルダーのように、時折、ひょいっと裏返る感じが魅力的です。ジャズのハニーサックルローズやらに混じって、日本のいにしえの歌、胸の振子も聴けました!東京ブギウギからリンゴ追分、アリランの披露も。ジャンルを越えて、いろんな歌が登場するところも、アンさんの魅力の一つですね。ひとつの歌に対する姿勢といいますか、彼女なりにその歌に対して一生懸命に取り組んで、表現をされている様子がとても好きです。アンさん、また是非歌いにきてくださいねっ。(青山美樹)