■10/5(水) Her Space Holliday/The American analog set/orge you asshole
 8月のサマーソニックに引き続き今年2度目の来日のハー・スペース・ホリデイ(以下ハースペ)とキャリア10年にしては初来日のアメリカン・アナログ・セット(以下アメアナセット)のカップリング・ツアーの名古屋公演。オープニング・アクトは期待の若手バンド、オウガ・ユー・アスホール(以下オウガ)。オウガはこの手のUSインディーバンドと相性が良いですね。この日も良い感じにはまっていたと思います。オウガは、今後の動向次第ではかなり面白い存在になるかも。要チェックですよ!そしてアメアナセット。バンド名の通りヴィブラフォンやローズ、ムーグなどアナログ機材を使用。小さめな音量で丁寧に音を積み重ねていく演奏は、曲を重ねるごとにジワジワと熱量を上げていき、ちょっとしたトリップ感を醸し出していました。得三の雰囲気ともマッチして、この音の波にずっと身を委ねていたいくらいに心地良かったです。トリはハースペ。フルバンドでの来日予定だったようですが、結局は昨年と同じセット。昨年同様、ドリーミーなアレンジのCDとは違って、ヒップホップ色が強いバックトラックを使ってのライブ。この日の得三はテーブル席仕様だったため、ノリノリで踊るのは無理でしたが、思わず体が動いてしまうブリブリなプレイは、確実に昨年よりレベルアップしていましたね。3バンド共、それぞれ持ち味を発揮して楽しい一夜でした!(マキノシン)


■10/15(土)箱/plingmin/U-LALA
 生憎の雨、にもかかわらず多くのオーディエンスでにぎわった音色並木路vol.3。学生の視点で、良質な音楽を紹介していこうと活動を続けるCRJ-Cによるイベントです。今回出演したアーティストは、秋の夜にふさわしい優しい音色を奏でてくれる3組。まず最初は、名古屋の現役音大生のバンドplingmin。バランスのとれた演奏と、透明感ある声が印象的なボーカル。力強さの中にどこかはかなさも見え隠れし、聴くほどにもっと知りたくなるバンドです。2組目は大阪のu-lala。美しい映像に合わせてゆるやかで心地よい演奏でした。ダブとエレクトロニカが交錯する音の世界をゆらゆら泳ぐ魚になったみたいで、聴いていてとても心地よかったです。オーディエンスの評判も良く、是非また名古屋でライブをしてもらいたいです(今回が名古屋初ライブでした)。そして、最後は大阪の人気オーセンティックスカバンド、the Miceteethのボーカリスト次松大助氏によるソロプロジェクト「箱」。なんと、コンビニのビニール袋片手にゆる〜く登場。その中からおもむろに楽譜を取り出して、ピアノの弾き語り。猫背でピアノを弾く姿がかわいらしかったです。the Miceteethの曲、「ムーンリバー」や「春のあぶく」もピアノバージョンで演奏してくれました。始終和やかな雰囲気に包まれて、自然と笑顔になれるイベントでした。(熊澤奈央子)
■10/16(日)花田裕之/フレアオッズ/Fee Bee's
 10月、得三で待望の「花田裕之 流れ session with FeeBee's」のライブがあった。今、最もリスペクトしているミュージシャンの一人、花田さんを知ったのが10年ぐらい前で、現・騒音寺&FeeBee'sでギターを弾き、高校時代からの親友であるタムから誘われて行ったR&R GYPSIESのライブが初めての出会いです。そのライブ以来、クールで独特のオーラを持つ花田ワールドにどっぷりはまってしまいました。最近、9月にリリースされたニューアルバム「NASTY WIND」を聞きまくっていますが、これがまた全曲良いんですわ。大人のロックというか、益々曲に渋さが出てきた感じがありますねぇ。僕のオススメ曲は「決めかねて」!タイトルもインパクトありますが、この詩にはかなり共感できるところがあります。独りで自由気ままに弾き語りをするスタイルも良いんですが、バンドの中央に立ち怒涛のようにエレキギターを弾きまくる、そして歌いまくる花田さんがやっぱ最高です。今回、花田さんのバックバンドのギターとしてタムが同じステージ上でギターを弾いていた光景は、なんか不思議な感じでした。独りギターを抱えて各地を流れながらライブをやる、その飾らなさ、そして自由な花田さんは、まさにR&Rジプシーそのものです。(元場)
■10/23(日)Saigenji
 SaigenjiのLiveの魅力は、楽しくなっちゃう所にある。いい飲み友達見つけたなぁ、みたいな感覚で。だからついつい聴きに行きたくなってしまう。間近で会えた彼への印象は、ちゃんと「バカ」の出来る「オチャメ」な「オトナ」な男性。だから観客の様子を探るよりも、自身が楽しんでる事がイチバン伝わるんだって事を彼は知っている。その「楽しそう!」が聞き手の「楽しい!!」に変わる。いつ聞いてもズレない超正確なリズムと楽器をも兼ねた優しい歌声。そんな凄腕からの言葉は『何か聞きたいのある?』…そんなフレンドリーさはステージを降りてからも全く変わらない。今まで経験してきた全てが、SaigenjiというMPBになったんだろうな。個人的には「てぃんさぐの花」「アカラント」、やられました。勿論アップテンポの曲だってカッコよかったけど!!パーカスとギターというシンプルでフリーなスタイルが、その魅力を存分に楽しめた一夜でした。また『ついつい』聴きに行きたくなりました。Saigenjiを説明するのにJOAO BOSCOやJOYCE
を形容する必要などもう無いでしょ!?Saigenjiという個性が今、輝いている。いよいよ名古屋にもSaigenjiの熱い波が届いた。嬉しい!(土井斉)

■10/24(月)JOANNA NEWSOM/SMOG
 片や、いつも無口に虚空を見つめ、時折の「ニヤッ」で静かに口元を弛ませる男。つまりスモッグことビル・キャラハン。片や、そのお嬢様風ファッション含め、周囲の男たちを「ニヤ〜ッ」とさせる愛らしい女性。つまりジョアンナ・ニューサム。このふたりのカップリングで実現した来日ツアーは、とかく「暗と明」という両者のイメージの奥にある、それぞれの音楽が元より抱えていた「明暗」こそ際立つ組み合わせとなった。
 元々、スモッグという名前通りの自家中毒的なローファイ・カセット群から出発した後、気づけばレナード・コーエンに通じるストーリー・テラーとして、今や孤高の存在感を身につけたビル・キャラハン。田端義夫並にガット・ギターを高く抱きしめ、最小限のつま弾きに最大限のエモーションを乗せる舞台上の姿は、息をつくのも躊躇してしまうほどだった。また、壮麗なグランド・ハープの弾き語りで押しも押されもせぬニュー・カマーとなったジョアンナ・ニューサムも、組曲形式の長大な新曲を織りまぜてノベルティ観を完全払拭。という以上に?女の指の動き、そして弾かれた弦の1本1本が違う幅の帯となって揺れる様を眺めるだけで昇天。どこかにあったアメリカと、どこにもなかったアメリカ。それらの緩衝地帯で綱渡りしているような感覚が、このジョイント・ライヴにはあった。(福田教雄)