■10/3(木)ROVO
 まさかtokuzoでROVOのライブとは!!2年前のクアトロでも満杯だったのにどうなるのかしら、と思っていたらやはり大変なことになってました。踊るスペースが無くなるほど詰め込むのは避けたい、という主催者側の意向の入場制限で、悔しい思いをした人が沢山いたようです。そんな訳ですが会場は超満員。ライブが始まるのを待ちわびてウズウズしている人達であふれてます。人混みが苦手な私は始まる前から隅の方にはじき飛ばされてしまいました。会場の特性かこの日の音は低音押さえ気味で、それぞれの音はちゃんと聴こえているものの、一塊りになって攻めてくる感じ。さらにはじき飛ばされました。ギターの山本氏の「踊らへんやつは帰れ」という煽りだけあって、とにかく踊りまくってトランス状態になったもん勝ち。いかに気持ちよくなれるか。でも、微妙なリズムのずれやうわものの絡みなど繊細なアレンジが随所にあって、じっと佇んで聴きたくなるような場面もまた良しと思います。単純に踊れるだけのバンドはいくらでもあるだろうし、そいういところがROVOだからこそではないかと。そんなところも含め、加速、失速を繰り返しステージと客席の区切り無く会場全体をうねらせ一点に登りつめた約1時間半のライブ。圧巻でした。(加藤佐恵)
■10/13(日)『the原爆オナニーズ20周年記念ファイナル』
 自分で、自分の企画したライブのレポートを書くなんて云う、とんでもないことをすることになりましたが、たまにはこんなことがあってもいいじゃないかと、軽い気持ちで引き受けてしまいました。出演は自分のバンド”the原爆オナニーズ”と世界最高のハードコア・パンクバンドである”GAUZE”の2バンド。実は前日、大阪で共演して、名古屋入りをしたため、バンド間の波長はぴったりあっている。とくに、原爆はGAUZEと一緒にライブをやると、調子が良くなる、という法則があり、この日も、そんな予感がしていた。”20周年記念ファイナル”ということで、ゲストであるGAUZEが先にライブを行ってくれた。日本語の語彙をうまく使った独特な世界とハードコアパンクそのものであるスピード感は、何度見ても、その存在感は圧倒的である。さて、我々のほうはといえば、新メンバーにハイ・スタンダードの横山 健(g)を加えた五人組としての2回目のライブとなった。なにしろ、”20周年”なんだから、結成当初からずーっと観に来てくれている「原爆アーミー」に無作法なことがあってはいけないので、ステージ上はほど良い緊張感がただよっていた。原爆らしくステージに出っぱなしの、強制アンコール状態で全30曲を力の限り”いつもの調子”でやり切ったら、当然のことながら、観に来てくれた「原爆アーミー」も歳のせいか、くたばり切っていた。この日はライブレコーディングをしたので、『ON TIME… LIVE AT OPEN HOUSE』以来、久々にライブ盤を出したいなあ。(TAYLOW)
■10/15(火)54ー71/pele
 ジャズ/フュージョンスタイルの‘post rock’を確立させたオリジネイター、ミルウォーキーのpeleと日本インディーシーンの雄、54-71のジョイントライヴ!この日をどんなに待ち侘びたことか、女房質に入れてでも観なきゃ!そんな失禁寸前に昂ぶる気持ちを抑えいざ得三へ。扉を開けるや否や、PELEの流麗で軽やかなメロディーが耳に滑り込む、これですよ!これ!これが聴きたかったんですよ!しかも今までの音源には無かった、リズムを崩していくフリーフォーム感、リアルタイムで音を絡めていく電子音で、ふくよかな音は広がるばかり。緻密で繊細かつ卓越した演奏ながらも、聴いている人もメンバーも同等に楽しめる、リラックスした雰囲気に。そしてその温かい雰囲気と相反する、張り詰めた空気を持った、54-71。多くの日本のバンドが海外の模倣で終わる中、こちらは日本人ならではの‘ワビ’、‘サビ’そして湿度の高さで勝負!無駄な贅肉を削ぎ落とした、タイトでシンプル&ソリッドな刃物のような音が、アンプから直で体を突く、それがなんとも快感。4〜5回観た過去のライヴでは決まって30分だったのに対して、この日は倍の1時間。時間は倍になれど、その集中力に一点の曇りもなし。あの緊張感、テンション、リズム、タイミングを長時間保てるのは、やはり日頃の鍛錬の賜物。Vo.佐藤氏の鼻水こそ無かったが、54-71独特の異世界が、得三でも広がっていました。 両バンド共に、ROCKを根っこに持ち、先鋭的な精神とセンスを昇華させた【リズム馬鹿】な素晴らしいライヴを披露してくれました。2002年のベストライヴはもちろんこれ!!(parkloam 鈴木賢司)
■10/16(水)フィル・ミントン(voice)佐藤行衛(g)八木橋司(as)臼井康浩(g)
 フィル・ミントン、40年生まれのイギリス即興シーンを代表するヴォイス・パフォーマーだ。韓国のフェスティヴァルからスタートした今回のフィル・ミントン・ツアーの名古屋公演は、韓国在住、人気ロック・バンドもやっている佐藤行衛(ギター)、東京の八木橋司(アルト・サックス)、得三ではおなじみ臼井康浩(ギター)というセット。ユーモラス、リラックス、シリアスにと移ろいながらの展開。フィルの驚異的でしなやかなヴォイスは、先日TVで見たカメラのシャッター音を模倣する鳥を思い出させた。より多くの模倣ができるオスがメスに認められるそうだ。時に泥酔オヤジのぼやきにも聞こえてしまうヴォイス・パフォーマンスというのもすごいぞ! 佐藤のテーブル・ギター等の演奏は、なつかしフレッド・フリスよりお笑い系か。微細な断片を紡ぐ八つ橋のサックス。硬質でエッジが際立った臼井のギターは、サウンドのスパイスの役割をしていたようだ。4人の演奏は、もう一つ別のヴァリエーションが聞きたかったなと思わせた。「インプロヴァイザーは、過去と未来を語らない。語る必要がないからだ。しかし、誰よりも過去と未来を知っている。それがインプロヴァイザーである。」(noisecapture/t.okazaki)
■10/22(火)Carl Stone+赤松正行
   菊地行記(billy?) + Brian Labycz(koura)

 コンピュータというブラックボックスを駆使して無数の音色と予測不能の旋律を奏でるさまは、男との女の営みを連想させる。冒頭は静かに始まり、徐々に次の場面へと移りゆく。音が徐々に絡み合いながら、ストイックなまでに同じ展開を繰り返し、エンディングに向けて静かにパワーを溜め込む。そのパワーが臨界点に達したとき、その全てを空間にぶちまける。そして訪れる緩やかな終演。聴衆も演奏者も予測不能であるはずなのに、そこには明確に始まりがあり、緩やかに終わる。この日の演奏家達はCarl Stone+赤松正行、菊地行記(billy?) + Brian Labycz(koura)。いずれもMACをベースに、MAXというソフトを駆使する音楽家ばかり。ステージ上に並んだMACの前に座り、画面とニラメッコしながら演奏する様は、この手の音楽を耳にしたことのない人には奇異に映ったかもしれない。しかし、一心不乱に画面を見つめ、五感を研ぎ澄まし、相手の出す音を受け取りながら自分の音をぶつけ、流れに身を任せるように様々な展開へと進んでいき、やがてくる終演に向けて走っている姿に、私は男女の営みの様を連想してやまない。今回も又、音の洪水に飲み込まれながら、頭の中は別世界へと気持ちよく飛んでいってしまった。(志賀浩義)