■12/1(土)原爆オナニーズ・MOST・BAREBONES


 大好きなベアボーンズ、絶対ライブが見たいMOST、我らが原爆の三つ巴。何ヶ月も前から楽しみにしていたのに、直前になって原爆シゲちゃんの海外転勤が決まり、特別なライブになってしまった。20年近く不動のメンバーを誇ってきた原爆なのに…。始まる直前までずっとくよくよしていた私だったが、ベアボーンズが叩き出すモーターロックに一瞬で呑み込まれた。メーター振り切ったままラストまで一気に突っ走る、ヘヴィな疾走感がたまらない。そして、ライブ前「今日は特別な日だから気合いを入れて頑張ります」と言ってくれた山本精一さんの、緊張感溢れるギターがカッコいいMOST。PHEWも普段の優しい印象から一変、何かを見据えるように歌う力強い姿に、私の背筋もピンと伸びる。次はいよいよ原爆という時、隣にいたベアボーンズのメンバーの「原爆ディナーショーの始まりだ」の言葉に泣きそうになったが、ライブはその言葉通り、ごちそうてんこ盛りの全28曲。お馴染みの曲も懐かしい曲も、カッコよすぎて涙が出る。演奏も音も雰囲気も、年に1度あるかないかのサイコーのライブで、私はすっかり元気になっていた。だって、原爆聴いて楽しくなきゃウソだもん。今年20周年を迎えるTHE原爆オナニーズを、これからもよろしくお願いしますッ!(ヒサミ)
■12/11(火)福島泰樹


 〈‥‥「七〇年国会で会おう」とは、活動家、樽見が最後にくれた消息不明の手紙だ〉。このフレーズは福島泰樹の第一歌集『バリケード・一九六六年二月」(1968)巻頭に置かれた献辞だが、福島の私的状況報告会でもある『短歌絶叫コンサート』もまたここから始まる。寺山修司、中也、賢治、槐多、そして60年代の死者を触媒に、彼がどのような短歌的仮構とリズムを取り出したのか。それにしても想うのは、詩歌の、口誦される日本語のリズムである。「俺もついに口惜しみの灯を燈しけり暗澹ランタンカンテラを提げ」「柘榴盃がっぷがっぷと飲み尽くし歯に辛惨の血をしたたらす」「バッハ作曲パッサカリアはハ長調 もうすぐだよないかにみちこよ」「さなりさなりさなり寂しき夕暮れを赤西蠣太が燈すカンテラ」などなど、幕間に語られる一首の「意味=フィクション」よりも、音数律の心地良さについてはビールを飲み過ぎたがための翌朝の頭痛で明白だった。昨年に続き、名古屋では二度目の『絶叫』だが、意味のある「面白さ」を求めている若い人たちにも必見と云えておきたい。定家の再来、歌人、春日井健が後方のテーブルからひっそり視線を送っていたのが印象的だった。石塚俊明(ds)平松加奈(vln)島田篤(key)も秀逸。(山田裕彦)
■1216(日)BIRCHIVILLE CAT MOTEL/ESO STEEL
       Lethe/MSBR/Sean.G.Meehan


 ノイズのライブを観てきて思うことがある。それはその演奏形態にいくつかのパターンがあるということ。椅子に座り卓上に並べられた沢山の機材達とにらめっこをし、指先に全神経を集中させつまみをいじくるつまみ型。これはノイズでは割とオーソドックスなタイプで日本のノイジシャンに多い。動きが指先のみのためヴィジュアル的には退屈かもしれないが演奏者の顔をみていると以外とノリノリで面白い。自作の手作りマシーンを操り音を出すノッポさん型。ものは鉄製ロボットだったり、段ボール怪獣だったりと見た目と音が両方楽しめる。己の肉体を最大限に使ったパフォーマンス型。激しく暴れまわりながら絶叫したり、鼻からパスタを入れ口から出すなど本当に体を張っていてすごい。このタイプは割と海外のアーティストに多い。その他にも色々あるが、今回観たライブではどの演奏者もあまり激しいパフォーマンスはなく、つまみ型やノッポさん型でじっくりと音を聴かせるものが多かった。特に僕が好きだったのはLetheとEsso Steelのコラボでロウソクのロウが溶け落ち、小さな鐘に当たり鐘の音が響く仕掛け。そのおよそ定期的に響く鐘の音を聴いていると時間感覚というものがどんどんねじ曲げられていく感じがしてとても気持ちが良かった。歌や曲のある音楽も良いがノイズで純粋に音を楽しむのもたまにはよい。(川村)
■12/17(月)アール・キング、ジョージ・ポーター


 まず最初のインストで全員ブッ飛んでしまう。ネットリとした、大きいグルーブが会場を揺らし、それはどんどんとうねりを増してゆく。さすが!オリジナル・ミーターズのジョージ・ポーターだ、ビッグ・グルーヴで完全腰抜け状態にされてしまった。40分程ジョージ・ポーターバンドだけでの演奏をやったところで、アール・キング登場!後で聞いたところによると、かなり重傷の糖尿病だったらしく、ギターも巧く弾けないような状態なのだが、時折思い出したように、見得を切るような客にアピールするポーズをしてみせる。それは、若かりし頃クラブでワンワン湧かせていた、キメのポーズなのだろう。年齢と体調のせいで、決してスマートとは言えない、そのぎこちない動きは、僕に、やばい世界で毎日体を張って生きてきたヒップ・スターのズシリと重いリアリティーを感じさせるのであった。最後に、全精力を費やしてギターを持ち上げ、首の後ろへ持っていっての曲弾きになると、もうヤンヤの喝采。そして「come on」「trick back」といったダンスナンバーのかっこよさは、アールキングがニューオリンズファンクの偉大なオリジネーターであることを、あらためて思い起こさせるカッコよさで、その彼を最大限の尊敬と愛情を持ってサポートし続けるジョージポーター達に、ニューオリンズの脈々と流れるファンキー・ビートの核心をみたのであった。(森田)
■12/24(月)杉本拓ギター・カルテット


 噂に聞いていた杉本拓ギタ−カルテット。メンバ−が到着するなりいつもと様子が違う。何せPAのアンプのヒスノイズでさえ気になるという事で、完全に生音でやることになりました。リハを聴いてその理由が納得してしまう。普通に弦を弾くという行為は一切なく、カポタストになにやら鉄の細い棒をつけてそれを弓で弾いたり、ハーモニクスのみを使った演奏や、ナットの部分で音を出す等全て超小音量にて演奏する方法ばかりなのである。結局、エアコン、換気扇は切り、製氷器の電源も抜き、果てはレジも途中でさわる事になるといけないので開けたままにしておき、ありとあらゆる音のでる可能性のある物は極力排除するようにしました。待ちにまった本番ですが、お客さんもスタッフも普段と緊張感がまるで異なったものを経験することになった。咳きをしようものなら一瞬にして演奏に支障をきたすのではという事で、我慢している方も数名いらっしゃいました。一部が終わった所で、1階のお店のBGMが少し漏れてくるという事で、何と音量を下げてもらう様にお願いするハメになりました。これまでは考えられない事です。身体の全集中力を費やす濃い時間でしたね。いやいや普段、聞こえないいろんな音の存在に気付く興味深い一日でありました。もしかしてそれが演奏者のコンセプトだったのかも???(臼井)