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あほ犬日記

2/17

 2年前に57歳で亡くなられた、シネマテークの支配人・平野勇治さんが、新聞等へ出された遺稿をまとめた「小さな映画館から/平野勇治」という本ができた。シネマスコーレは1982年に創立されたのだが、その前身となる自主上映グループ「ナゴヤシネアスト」時代からかかわっていた平野さんが、映画と伴走してきた日々を思いながら一気に読んだ。
 映画には、監督以下、役者・スタッフ達が映画を作る「現場」と、それを上映する映画館という「現場」が有るのだな。この本は、そのもう一つの「現場感」に溢れている。映画を享受するのみでなく、映画と格闘している感じ。
 シネマテークは、今池に出来た全国ミニアターの先駆者であり、TOKUZOが出来てからは、すぐ隣のビルの映画館で、一緒にイベントもやったりもして、僕にとっては基本理念の似た仲間といった感覚がある。いつごろからか、サブカルという言葉が出来たのだったが、70年代に芽を吹き出し、80年代、価値観の多様化と共に経済の波もやってきて、ジェットコースターのように上がったり下がったり。あぁ、思ってみればライブハウスと一緒だな。家庭ビデオの普及、そしてデジタル化もあったよね。シネコンが瞬く間に一般化して、映画館の通常概念が変わっちゃったかと思ったら、デジタル上映は一大転機。
 なにかあるたび、平野さんは、映画って、映画館ってなんだろうと、「現場」に立って考えている。「現場」は郷愁に浸っている余裕などない。でもしかし、初めて映画に心揺さぶられた初期衝動を忘れることは、平野さんにとってもっとゆるされないことだったのではないか。
 10年ほど前、東北震災の後だった。平野さんが「震災後の感覚が無い映画は、駄目だよね」というようなことを僕に言った。僕自身の震災後の感覚ってなんなのだろうと思い、言葉が出てこなかったのを憶えている。今回のコロナ状況下で、平野さんだったらどう考え、何をするだろうか。この本を持って、風呂場でもう一度パラパラめくりながら、なにかヒントを見つけよう。

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