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あほ犬日記

11/14

 カラオケで歌うというのは、年に一回か二回のことである。そのうち一回は毎年夏に開催される得三のカラオケ大会。僕の出番は朝5時前の最後の一曲なのだが、今年はコロナで開催が出来なかった。ここ5年くらいはクールファイブの「出船」という曲を歌っていた。映画のラストシーンを観るような、胸が詰まりそうになる曲で、船が暗い海の中を異国へ出て行く。岸には永遠の別れを惜しむ女が手を振るといった、惜別の情景を描写していて、そんな羽目になった理由や、どこへ何をしに出て行くのかは、全く説明されない。現代の日本でそのような状況があるのかというのが判らなかったのだが、この曲が出たのが70年代の半ばで、そのときはまだ在日朝鮮人一世が、まだたくさんいたことに思い至り、自分が国を出た時の事を思い浮かべる人もいたのではないかと考えたりしていた。
 ふとした偶然で、沢木耕太郎が1979年、引退直前の藤圭子にロングインタビューをした本があることを知った。あ・・宇多田ヒカルのお母さんね。その原稿はいろんな理由で、世に出されず、30年の時を経て、彼女が亡くなってしまった後、平成25年になって出版された。藤圭子二十八歳、沢木三十一歳による会話のみで構成された本には、素直で純粋で、どこか不思議に虚無的な藤圭子の飾らない姿があふれ出ていて、六十三歳の僕は、抱きしめたくなっちゃうのであった。
 藤圭子が十代の時、前川清と結婚していたのは知っていた。ほんの一瞬で離婚しているのだが、二人の交友は引退するまでずっと続いていたようなのだ。本の最後の方で、引退直前になって、前川がヴォーカルを務めるクールファイブのコンサートに行った事を喋っている。「メドレーの最後の方で〈出船〉ってゆうのを歌ったんだ。それを聞いていたら、胸が熱くなって涙がこぼれそうになって、ほんと困っちゃったよ。あんなうまい人はいないよ。絶対日本一だよ。」
 得三では年末に、不完全ながら忘年会をやります。今年は出し物はやらないかわり、地味にカラオケでもやっちゃおうかなと思ってます。今年も〈出船〉を歌うことが出来そうだな。頑張って歌っちゃおう!

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